2018 年 47 巻 6 号 p. 289-292
高安動脈炎に起因する狭窄または拡張性動脈病変には外科的治療は原則として炎症をコントロールしてから非活動期に行うことが望ましいとされている.しかし,大動脈瘤を形成した場合,大きさによっては外科的治療を先行せざるを得ない症例もあると考えられる.今回われわれは高安動脈炎と判断された2症例のうち,弓部大動脈瘤症例には準緊急手術を施行し救命し得たが,Valsalva洞瘤症例では抗炎症剤の開始直前に急性大動脈解離(Stanford A)を発症し失った.高安動脈炎による大動脈瘤に対する手術時期決定には,炎症反応のみならず,症状の発現形式や動脈瘤の形状などから総合的な判断が必要と考えられた.