2019 年 48 巻 3 号 p. 197-201
症例は48歳,女性.39歳時より皮膚筋炎に対してステロイドを内服中.48歳時に突然の胸部絞扼感が出現し,急性心筋梗塞が疑われた.冠動脈造影検査で右冠動脈閉塞を認め,同部位から塞栓物(血栓)を回収した.左室造影検査では上行大動脈内に可動性腫瘤を認めた.腫瘤は血栓の可能性も考慮し,ヘパリン治療を開始したが,腫瘤は縮小せず,手術の方針とした.腫瘤は右冠動脈口より2.5 cmほど遠位の大動脈壁に付着しており,20 mm×7 mm×7 mmの棒状であった.腫瘤付着部位の大動脈壁の性状は保たれていたため,腫瘤除去のみで手術を終了とした.腫瘤は病理組織検査で白色血栓,および赤色血栓よりなる混合血栓組織であった.術後から血栓予防目的に抗血小板薬と抗凝固薬の内服を開始し,術後1年が経過したが,再発なく経過している.