2019 年 48 巻 6 号 p. 411-414
広範囲腹部大動脈閉塞性疾患に対する治療は,しばしば難渋することがあり,われわれはステントグラフト (SG) を用いたハイブリッド手術 (HBO) を3例 (平均69歳) 施行した.Rutherford分類I-1群1例,2群1例,3群1例,TASC II分類D型2例,D+A型1例で患側肢ABIは平均0.52であった.全例全身麻酔下に血管造影装置を完備した手術室で行い,腎動脈下片側腸骨動脈病変にはaorto-uni-iliac法でSGを使用し,外腸骨-大腿動脈交叉バイパスを施行した.バイパス中枢側吻合は外腸骨動脈とし,遠隔期再狭窄に対するカテーテル治療のためSG側大腿動脈には手術操作を加えなかった.2例で腸骨動脈病変にbare stentを追加留置した.全例再建が成功し,手術時間は平均123分,合併症なく術後平均11日で退院し,現在まで開存は良好である.われわれはSGを用いたHBOを施行し,良好な結果を得たので報告する.