日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
[成人心臓]
収縮性心膜炎様の血行動態を呈した重症三尖弁閉鎖不全症の1手術例
北原 睦識岩田 圭司山田 裕
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 49 巻 1 号 p. 21-24

詳細
抄録

重症三尖弁閉鎖不全症が収縮性心膜炎様の血行動態を呈した症例を経験した.症例は57歳女性.54歳時に心機能異常を指摘された.開胸手術の既往はなかった.心エコー検査ではLVDd/Ds=45/22 mm,LAD=46 mm,LVEF=82%.MR II°,AR II°,TR IV°の所見を認めた.心臓カテーテル検査で心室内圧のdip and plateau所見を認め,RVEDPとLVEDPはともに20 mmHgと上昇を認めた.以上の所見より収縮性心膜炎を疑われた.右心不全による肝,腎不全の進行を認め,また心不全により入退院を頻回に繰り返すようになった.以上の経過をもとに外科的介入の方針となった.手術所見では心膜の心臓への癒着は認めず収縮性心膜炎は否定された.三尖弁に対して三尖弁形成術を施行し,術後には心エコー検査における収縮性心膜炎様の所見は改善した.この症例に対して文献的考察を加えて報告する.

著者関連情報
© 2020 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top