日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
[成人心臓]
脳梗塞を契機に発見された CAT(Calcified amorphous tumor)の1例
髙橋 雄新野 哲也
著者情報
キーワード: 心臓腫瘍, 脳梗塞, 透析療法
ジャーナル フリー

2020 年 49 巻 1 号 p. 16-20

詳細
抄録

症例は62歳,男性.1998年,糖尿病性腎症で維持透析を導入.2018年11月,起床時の呂律障害と左上肢の麻痺を自覚したため,救急要請し当院搬送となる.搬送時,NIHSS(National Institutes of Health Stroke Scale);1点,左上肢の麻痺は改善し軽度の構音障害を残すのみであったが,頭部MRIで右頭頂葉皮質下梗塞を認め,神経内科に緊急入院となる.全身検査で施行した経胸壁心臓超音波で大動脈弁左冠尖-右冠尖間の交連部に付着する可動性に富む腫瘍性病変8mm×5mmを認め,当科紹介となり,塞栓症を伴う心臓内腫瘍性病変に対して手術適応と判断した.大動脈弁位の腫瘍性病変に加えて中等度大動脈弁狭窄症を認めたため,大動脈弁置換術を施行した.術後経過は良好で独歩退院となった.病理所見では石灰化に富む線維性結合組織であり,CAT(Calcified amorphous tumor)に矛盾しない所見であった.CATは比較的稀な疾患であり疫学や自然歴に不明な点が多い.今回,脳梗塞を契機に発見されたCATの1例を経験したので,若干の文献的考察を含めて報告する.

著者関連情報
© 2020 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top