2020 年 49 巻 5 号 p. 280-283
心室中隔穿孔は貫壁性心筋梗塞に続発する予後不良の合併症である.救命を目的に外科手術を要することが多く,心膜パッチを必要とするが,術後に血栓塞栓症が問題になることは稀である.われわれは心室中隔穿孔手術後2週間目に広範な脳梗塞を発症し死亡した症例を経験した.その剖検所見では左室内の心膜パッチに血栓形成を認め,左室内血栓による心原性脳梗塞の可能性が疑われた.手術侵襲に伴う全身性炎症反応による血液凝固能亢進に加えて,心膜パッチの存在や縫合法に伴う心膜パッチの皺襞の形成など血栓形成を促進する因子が重複するので,心室中隔穿孔の手術後では左室内血栓も念頭においた術後管理の必要があると考えられた.