2020 年 49 巻 5 号 p. 291-294
症例は55歳女性.先天性大動脈弁狭窄症に対して20歳で生体弁Carpenter-Edwardes PERIMOUNT(CEP),28歳時Björk-Shiley monostrut(BSM)弁による大動脈弁置換術を施行された.心不全徴候が進行し当院を紹介受診した.UCGでは弁の構造異常は認めず,Prosthesis-patient mismatchの診断で,手術適応とした.胸骨再正中切開でアプローチし,人工弁を除去後19 mmサイザーが通過せず,狭小弁輪であり弁輪は脆弱であった.21 mm機械弁を用いたComposite graftによる大動脈基部置換術を施行し,弁輪拡大を回避した.術後弁口面積は改善した.BSM弁は移植27年後であっても構造劣化はなくその耐久性が確認されたが,PPMをはじめとする非構造的劣化に対して,フォローが必要と考えられた.