日本心臓血管外科学会雑誌
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[成人心臓]
本態性血小板血症を合併した可動性血栓を伴う左心室瘤の1緊急手術例
窪田 優子平居 秀和青山 孝信瀬尾 浩之末廣 泰男末廣 茂文
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2020 年 49 巻 6 号 p. 339-343

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抄録

本態性血小板血症(essential thrombocythemia : ET)は慢性骨髄増殖性疾患のうちの1つで動脈血栓塞栓症や静脈血栓症,出血傾向をきたすことが報告されている.今回われわれは,本疾患を合併した左心室瘤を経験し,緊急手術を行い良好な結果を得たので報告する.症例は66歳男性.突然の右上下肢麻痺を認め,近医に救急搬送された.多発性脳梗塞を認め,心エコー検査で左室内可動性血栓を指摘された.また血液検査で血小板数が120万/μlと異常高値を認めていた.血栓の増大傾向を認めたため,当院に転院となった.心電図上は前壁中隔の陳旧性心筋梗塞の所見を認めた.心エコーで,左室心尖部に心室瘤を認め,瘤内に血栓が確認でき,一部は高度に可動性を伴っていた.血小板数は124.3万/μlであり,再塞栓のリスクが高く,緊急手術を施行した.手術は瘤切除,血栓除去,左室形成術を行った.瘤内部は軟らかい血栓が存在した.体外循環中のACTが延長せず大量のヘパリンおよびAntithrombin III製剤を必要としたが止血は問題なかった.術後出血も少なく,術後2日目より低分子ヘパリンを開始し,骨随穿刺で本態性血小板血症との診断を得た.術後5日目にワーファリンおよびアスピリンを開始し,8日目に血小板数が183万/μlと上昇したため,ヒドロキシカルバミド内服を開始した.血小板数は2週目に290万/μlまで上昇したが,3週目頃より100万/μl以下となり,塞栓症を起こすことなく34日目に退院となった.

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