日本心臓血管外科学会雑誌
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第51回日本心臓血管外科学会学術総会 卒後教育セミナー
冠動脈バイパス術における術中グラフト評価
西川 幸作吉永 隆高木 淳岡本 健福井 寿啓
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2021 年 50 巻 5 号 p. 5-xi-5-xiv

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抄録

冠動脈バイパス術(CABG)の早期および遠隔成績はグラフト開存率に大きく依存する.グラフト閉塞の原因には,グラフトの質や吻合部のトラブル,吻合部末梢側の血管床などさまざまな因子が存在する.そのため,CABGにおいては,良質なグラフトを適切な標的冠動脈に吻合するとともに,術中にグラフト血流を評価することが重要となる.本邦における日常臨床で最も普及している術中グラフト評価法には,トランジットタイム血流計(TTFM)と術中蛍光イメージング(IFI)がある.TTFMは,グラフト血流を数値化して定量的に評価できる反面,自己動脈圧やグラフト血管径に計測値が左右されてしまうという欠点がある.一方,IFIは,グラフト血流を視覚的に評価できるものの,定量的評価が難しいといった欠点がある.CABGにおけるグラフト開存率向上のためには,双方の利点を活かして術中にグラフト血流を適切に評価し,血流に問題がある場合には再吻合を躊躇なく行うことが重要である.

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