抄録
【対象】平成11年6月から平成15年6月までに大腸内視鏡検査を施行した門脈圧亢進症患者101例.男性72例,女性29例で平均年齢は64.6歳.大腸静脈瘤,大腸クモ状血管腫様病変(vascular ectasia; VE)に関し検討した.【結果】PHCは大腸VEを25.7%,直腸静脈瘤(RV)を22.7%,上行結腸静脈瘤(AV)を1.0%に認めた.出血頻度はVEが3.8%,RVが21.7%で有意にRVで高率であった.食道静脈瘤治療歴のある症例は46.6%にRVを認め,治療歴のない症例の13.7%に比し有意に高率であった.内視鏡治療は出血例,RV5例にEVL,VE1例にAPCによる焼灼,上行結腸静脈瘤1例に内視鏡補助下外科的結紮術を施行.合併症は1例にEVL後出血性潰瘍を認めた.治療を要したRVは全例食道静脈瘤治療歴を認めた.