日本心臓血管外科学会雑誌
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[成人心臓]
WATCHMAN 留置中に左心耳穿孔を来し,開胸手術を要した1症例
矢澤 翼山木 洸史加藤 葵後藤 祐樹山本 良太杉浦 純也田中 啓介加藤 亙
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2022 年 51 巻 1 号 p. 31-34

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抄録

左心耳閉鎖デバイスWATCHMANは,非弁膜症性心房細動に対する血栓塞栓症予防の治療として,抗凝固療法での出血リスクが高い患者に対して使用可能なデバイスである.今回われわれはWATCHMAN留置中に左心耳穿孔により心タンポナーデを来し,緊急開胸手術を要した症例を経験したため報告する.症例は83歳の女性で,カテーテルアブレーション後に再発した発作性心房細動(CHA2DS2-VAScスコア4点,HAS-BLEDスコア3点)に対してWATCHMAN留置が予定された.留置中に心タンポナーデを来し,心嚢ドレナージを行ったが活動性出血が続いていたため,緊急で人工心肺使用下に開胸手術を施行した.左心耳穿孔からの出血と判明し,左心耳縫縮術を行い止血を得た.WATCHMAN留置による左心耳穿孔は稀な合併症であり,文献的考察を含めて報告する.

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