2022 年 51 巻 2 号 p. 105-109
Chronic expanding hematoma (CEH)は手術や外傷を契機に,慢性的に増大する血腫で非常に稀な疾患である.症例は70歳,女性,胸部外傷歴や胸部手術歴なし.前医にて68歳時に心房細動に対してアブレーションを施行し,その際に右室前面に腫瘤影を指摘されたが経過観察となっていた.70歳時に心不全兆候を認め,CTでは126×76 mm大の腫瘤性病変と右室側から心尖部,左室にかけて心外膜の石灰化を認めた.CEH,収縮性心膜炎と診断し,腫瘤摘出,心外膜切除術を行った.腫瘤周囲は高度に硬化・癒着しており,腫瘤内部は泥状の内容物を伴いCEHと矛盾しない所見であった.若干の文献的考察を加えて報告する.