2022 年 51 巻 2 号 p. 96-99
46歳,男性.感染性心内膜炎による弁閉鎖不全症に対し,2弁置換術を待機的に行った.体外循環より離脱し,新鮮凍結血漿計8単位を投与したところで,気管内より多量の黄色漿液性分泌物が吸引され,酸素化の急激な増悪を認めた.循環動態からうっ血ではなく,TRALIと判断し輸血を中止し,ステロイドを点滴静注した.ICU帰室時より酸素化能改善,分泌物減少し,術後2日目に人工呼吸器より離脱した.酸素化不良には一酸化窒素吸入が著効した.体外循環離脱後の酸素化不良の鑑別疾患としてTRALIを認知しておくべきと考えた.