2022 年 51 巻 2 号 p. 89-95
新型コロナウイルス感染症(COVID-19:coronavirus disease-2019)による心臓血管外科診療への影響に関して全国的な現状を正しく把握すると同時に,COVID-19患者への感染予防策に活用することを目的としてアンケート調査を行った.[方法]心臓血管外科専門医認定修練施設550施設に対して調査を行い,310施設(56.4%)から回答を得て集計した.[結果]入院前PCR検査または抗原検査は,68.8%の施設で全例に実施されていた.約60%の施設が待機手術を制限していた.しかし,制限は従来件数の50%未満に留められていた.待機手術では弁膜症と大血管手術,緊急手術で比較すると,大血管手術の延期・中止の割合が高かった.COVID-19患者またはCOVID-19が疑われる患者に対する手術は,42症例の報告があった(陽性は10症例).術中感染予防策としては,9割以上の症例でN95マスクを装着しており,Full PPE装着33.3%,N95マスク+フェイスシールド装着66.7%であった.COVID-19患者の術後死亡例はなく,医療従事者への感染も認めなかった.[結語]COVID-19による手術制限は多くの施設で経験していたが,50%以上の待機手術の制限を経験した施設は1割程度であった.術前スクリーニング検査が高い割合で実施されたことと,推奨されている感染予防策で,医療従事者への感染は十分にコントロールされていた.COVID-19患者10例において,手術死亡はなかった.