2023 年 52 巻 5 号 p. 320-324
症例は46歳男性.CTで肺動脈主幹部から左肺門部さらに肺内に浸潤性腫瘤を認め,集学的治療目的に当院紹介となった.手術は肺動脈腫瘍摘出術,左肺全摘出術,右室流出路および肺動脈再建術を行った.右室流出路再建はウシ心のう膜パッチを用い,肺動脈再建には生体弁によるコンポジットグラフトを用いた.術後は重篤な合併症なく経過し,第22病日に独歩退院した.腫瘍の病理組織学的所見は肺動脈内膜肉腫であった.肺動脈内膜肉腫に対して,左肺を含めて腫瘍全摘出術を行い,右室流出路から右肺動脈にかけてコンポジットグラフトを用いた再建が有用だった1例を経験したので,文献的考察を含め報告する.