2024 年 53 巻 5 号 p. 263-266
症例は66歳,女性.不安定狭心症,心房細動の診断のもと冠動脈バイパス(CABG: Coronary Artery bypass graft),左右肺静脈隔離術,左心耳閉鎖術を施行.術直後は通常の術後経過同様にドレーンから淡血性排液が少量みられる程度であったが,術後15時間程度経過したころからドレーンから300 ml/4 hの漿液性排液が認められた.以降も1日量500~900 mlと多量の排液が続いた.食事開始後も漿液性であり,一般的な乳糜胸を伴うリンパ漏とは異なった経過であった.生化学検査や性状からはリンパ漏が疑われたために乳糜胸に準じて,脂肪制限食,オクトレオチド皮下注を開始するも,ドレーン排液は持続した.最終的に診断と治療を目的としたリピオドールによるリンパ管造影検査を行うことで,リンパ漏の改善を得ることができた.