日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告 [成人心臓]
高齢にて診断された不完全型房室中隔欠損症に対する1手術例
西本 幸弘森崎 晃正高橋 洋介左近 慶人西矢 健太因野 剛紀野田 和樹長尾 宗英柴田 利彦
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2025 年 54 巻 1 号 p. 18-22

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抄録

70歳以上の房室中隔欠損症に対する外科的手術はたいへん稀である.今回,75歳の高齢で不完全型房室中隔欠損症と診断され手術を施行した症例を経験したので報告する.症例は75歳男性.労作時呼吸困難を主訴に,精査にて不完全型房室中隔欠損症,重症左側房室弁閉鎖不全症,重症右側房室弁閉鎖不全症,持続性心房細動,冠動脈狭窄症と診断し,手術適応と判断した.手術は自己心膜による一次孔欠損型心房中隔欠損閉鎖術,生体弁による左側房室弁置換術,弁輪形成を伴わない右側房室弁形成術,modified Maze IV手術,左心耳閉鎖術および冠動脈バイパス術2枝を施行した.左側房室弁は当初形成術を施行したが,弁尖の変性肥厚が進行しており,形成術では逆流制御困難であり弁置換術とした.術後経過はおおむね良好で手術15日後に自宅へ退院となった.術後1年半が経過したが,洞調律を維持し,心血管イベント等を認めず経過良好である.

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