2025 年 54 巻 5 号 p. 212-215
症例は66歳男性.健診で心電図異常を指摘され循環器内科を受診した.CT検査で瘤を形成した胸部大動脈肺動脈瘻および肺動脈基部前面に瘤を伴った冠動脈肺動脈瘻を認めたため当科紹介となった.無症状であったが,冠動脈肺動脈瘻を伴った瘤は約20 mmで破裂の危険性があることからコイル塞栓術と外科的治療の方針とした.最初に胸部大動脈肺動脈瘻に対してコイル塞栓術を施行した.つづいて,胸骨正中切開でアプローチし,左右の冠動脈から肺動脈へ多数の蛇行した異常血管と肺動脈基部に瘤を認めたため,人工心肺下で瘤を剥離切除し,肺動脈瘻開口部を結紮縫合閉鎖した.術中の冠動脈造影と術後心臓CT検査では異常血管と瘤は消失し,経過良好にて退院となった.瘤を伴った胸部大動脈肺動脈瘻および左冠動脈肺動脈瘻に対してコイル塞栓術と瘤切除術・瘻閉鎖術による一期的手術を施行した1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.