日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告[成人心臓]
間欠的機能不全を呈した大動脈弁位人工弁の1例
眞庭 優鬼塚 大史栗栖 和宏上野 安孝塩瀬 明
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2025 年 54 巻 5 号 p. 220-222

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抄録

症例は53歳男性,強直性脊椎炎で加療中に労作時呼吸苦の増悪を認めた.心臓超音波検査で重症大動脈弁閉鎖不全症を指摘され大動脈弁置換術を施行した.比較的若年のために人工弁は機械弁(SJM Regent 21 mm)を選択した.術直後の経過は良好であったが術後5週目でしだいに心不全の増悪あり,術後52日目に心臓超音波検査で間欠的な経弁逆流を認めた.弁透視検査で間欠的な開放位固定が確認され人工弁不全の診断となった.造影CTを施行したものの人工弁周囲に血栓や組織形成を疑うような造影欠損は認めなかった.術後56日目に大動脈弁再置換術(On-X 21 mm)を施行した.術中に明らかな構造的異常は指摘できなかったため,弁輪部の圧迫による変形が弁不全の原因と考えられた.蝶番部分の変形により開閉不全を生じた機械弁の症例を経験したので報告する.

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