2026 年 55 巻 2 号 p. 78-82
IgG4関連腹部大動脈瘤のうち,嚢状瘤の頻度は数%とされる.複数の嚢状瘤を呈するIgG4関連腹部大動脈瘤の1例を経験した.症例は73歳・男性.前立腺肥大のフォロー目的のCTにて偶発的に腎動脈下腹部大動脈に最大短径30~35 mmの複数の嚢状瘤と大動脈周囲組織の肥厚および左尿管狭窄・水腎症を指摘された.造影CTでマントルサインを,血清IgG4=178 mg/dlと上昇を認め,IgG4関連腹部大動脈瘤疑いにて人工血管置換術を施行した.術中,大動脈壁の肥厚と光沢および周囲組織との高度癒着を認めた.大動脈壁の病理組織学的検索にてIgG4関連疾患の診断基準を満たし,確定診断を得た.術後CTにて左尿管狭窄・水腎症は軽減しているものの残存していたため,残存する後腹膜の炎症に対して術後30日目よりプレドニン20 mg/日でステロイド加療を開始したところ,術後6カ月のCTで左尿管狭窄・水腎症は消失した。ステロイドを漸減したがIgG4の再上昇や他部位大動脈の瘤化なく,術後24カ月でステロイド投与を終了した.現在も外来で長期経過観察中である.