2026 年 55 巻 4 号 p. 180-184
症例は61歳男性.発作性心房細動の既往あり,2年前より労作時息切れを自覚していた.最近になり,症状の増悪に伴い心房細動の頻度が増加し,発作時には呼吸困難の増悪および前失神を認めたため,前医より精査加療目的に当院へ紹介となった.精査の結果,上位型心房中隔欠損症および腱索断裂による三尖弁後尖の逸脱を伴う重症三尖弁閉鎖不全症,および軽度僧帽弁閉鎖不全症を認めた.心房中隔欠損閉鎖術,三尖弁形成術,僧帽弁形成術ならびに不整脈手術(Maze手術)を施行した.三尖弁逆流は後尖腱索断裂による逸脱に加え,弁輪拡大も寄与していたため,semi-rigid ringを用いた三尖弁輪縫縮に加えて,edge-to-edge法による弁尖内裂隙の縫合閉鎖および人工腱索再建を併用し逆流を制御した.術後経過は良好で,術後心臓超音波検査において三尖弁逆流は消失していた.本症例は,腱索断裂による一次性要因と,心房中隔欠損症に伴う容量負荷による二次性要因が併存した三尖弁逆流であり,それぞれの病態に応じた治療戦略を組み合わせることで良好な治療成績が得られたため,ここに報告する.