抄録
1977年2月より1987年2月までの10年間に教室で施行された心筋梗塞後左室瘤切除術36例 (平均年齢54.8±8.4歳) を対象とし, 術前後一般左室機能指標, 運動負荷時心機能, NYHA臨床重症度推移, さらにアンケート調査による社会復帰, 生活改善度, 5年累積および相対生存率から本症の外科的治療について評価検討した. 術前後一般左室機能指標推移では駆出率 (EF), 拡張末期容積係数 (LVEDVI), 拡張末期壁ストレス (LVDWS), 平均内周短縮速度 (mVCF) の改善 (p<0.05~0.01) が認められ, 左室局所壁運動の術前後比較では region 4.5における改善が認められた (p<0.05). 運動負荷前後左室機能指標推移に関する術前後の対比では, pressure rate product (PRP), 心係数 (CI), 最大左室内圧変化率 (Max dp/dt/p) に関しては有意な差異を認めなかったが, 左室拡張末期圧 (LVEDP), 肺動脈楔入圧 (PCWP)については, 術前運動負荷時における有意な上昇 (p<0.01) を術後は認めず運動負荷耐応能の改善と考えられた. NYHA臨床重症度分類では術前平均2.9度は術後1.5度と改善し, 近接死5.6%, 遠隔死5.6%, 5年累積生存率87.6%, 相対生存率93.9%であった. また術後の就労率は47%であったが, 生活の質の向上は著明であった. なお, 観察期間は6~120か月平均60.8±30.5か月であった.