日本心臓血管外科学会雑誌
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高齢者不完全型心内膜床欠損症の2治験例
梅林 雄介有川 和宏湯田 敏行下川 新二福田 茂森山 由紀則平 明
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1992 年 21 巻 2 号 p. 207-211

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抄録
不完全型心内膜床欠損症では老年期まで放置されることは少ない. 文献的にも50歳以上の手術症例はこれまで8例が報告されているのみで, 最高齢者は60歳であった. 今回著者らは63歳, 67歳の2例に根治術を行い良好な結果を得た. 1例は60歳からの3年間に急速に肺高血圧が進行し, 他の1例は僧帽弁裂隙に著明な石灰化があり, 術後に僧帽弁逆流が軽度残存し, また鬱血肝から肝硬変の進行がみられた. 高齢者では肺機能, 腎機能の異常を呈することが多く, 心の予備力も少ないため, 術中の心筋保護を十分に行うとともに, 体外循環離脱時のCVPを15cmH2O以下にとどめ, カテコールアミンによるサポートを十分に行うことが必要である, 以上より, 可及的早期の手術が望まれるが, 高齢者といえども積極的治療の姿勢が望まれる.
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