日本心臓血管外科学会雑誌
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虚血性心疾患への free IMAグラフト使用冠動脈バイパス術
春田 泰伸田代 忠田中 攻永田 昌彦中村 正直藤堂 景茂
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キーワード: 冠動脈バイパス術
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1992 年 21 巻 6 号 p. 529-533

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抄録
1987年12月から1991年7月までの3年8か月にIMAを使用した単独A-Cバイパス137例中26例に free IMAを使用した. Free IMA 26例27本のうち13本 (48%) が sequential 吻合法であった. これら26例の患者1人当りの総バイパス数は平均3.6本/pt, 平均大動脈遮断時間は60.7分であった. Free IMAの早期成績は術後約1か月のグラフト開存率97.2%と同期間の in situ IMA 96.1%と有意差なく, 術後合併症は再開胸止血術: 0, 縦隔炎: 0, 呼吸不全を伴った横隔神経麻痺: 1であった. 早期死亡は26例中1例 (3.8%) と in situ IMA 111例中8例 (7.2%) と比較しても良好であった. この方法の長所はIMAの長さが不足する場合 free graft とすることで十分な長さを得ることができIMAの使用が可能となり, 遠位の責任冠動脈との sequential 吻合や多枝バイパスが容易になることにある.
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