日本心臓血管外科学会雑誌
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接着剤GRFを用いた微小血管吻合の実験的研究
松田 捷彦田村 暢成
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1993 年 22 巻 1 号 p. 26-29

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抄録

GRF (gelatin-resorcin-formalin) はゼラチンをゲル状にしレゾルシンを混ぜたもので, これにフォルマリンを加えることによりGRFの接着作用が強固となる. われわれはこのGRFを用い微小血管吻合を行いGRFの有用性を検討した. 体重200~300gの14匹のラットの腹部大動脈の吻合を行った. 7群に分け, 光顕的および走査電顕的に吻合部を観察した. 光顕的には吻合後2週間目でほぼ内膜の連続性が完成することが明らかとなった. また走査電顕の所見では従来の手縫いによる方法や, レーザーによる吻合に比べ内膜の損傷が少なく, フィブリン等の浸潤も少ないことが明らかとなった. 以上の結果より接着剤GRFは血管吻合に有用であることが示唆された.

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