日本心臓血管外科学会雑誌
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開心術中の prostaglandin E1持続使用による末梢循環改善効果
主に laser Doppler 組織血流計による足趾血流と末梢中枢温度較差を指標として
平松 祐司榊原 謙厚美 直孝軸屋 智昭筒井 達夫岡村 健二三井 利夫堀 原一酒井 章大澤 幹夫
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1993 年 22 巻 6 号 p. 462-467

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抄録

成人開心術症例の麻酔導入時から体外循環中, 術後急性期を通じてprostaglandin E1 (PGE1) を持続使用し, laser Doppler 組織血流計を用いて測定した足趾血流および末梢中枢温度較差を主な指標として, 末梢循環改善効果を検討した. 対象は開心術症例17例 (PGE1使用群7例, PGE1非使用群10例). PGE1使用群では麻酔導入時からPGE1 0.015μg/kg/minの持続静注を開始し, 体外循環中, 術後急性期を通じて使用した. 麻酔導入時 (PGE1使用前), 体外循環終了時, 術後急性期の血行動態, laser Doppler による足趾血流および末梢中枢温度較差から末梢循環改善度を評価し, 両群間で検討した. PGE1使用群ではPGE1非使用群に比べ, 足趾血流が体外循環終了後から術後急性期にわたって高値を示した. 体外循環終了時, 術直後の末梢温はPGE1使用群がPGE1非使用群を上回り, 末梢中枢温度較差も狭小であった. PGE1により体外循環中の灌流圧の調節を比較的円滑に行うことができ, 末梢血管抵抗係数, 全肺血管抵抗係数は, PGE1使用群で低値を示す傾向がみられた. 開心術中のPGE1持続使用は, 体外循環離脱後の末梢循環改善に有用であり, 後負荷軽減の目的にかなう方法である可能性が示唆された.

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