日本心臓血管外科学会雑誌
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DeBakey I型急性大動脈解離に対する手術成績の検討
上行大動脈人工血管置換術について
原 陽一上平 聡石黒 真吾佐々木 成一郎黒田 弘明森 透
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1993 年 22 巻 6 号 p. 480-483

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抄録
過去6年間に当教室において発症より2週以内の急性期に上行大動脈人工血管置換術 (一部弓部部分置換を含む) を施行した DeBakey I型解離12例を対象とし, 急性期ならびに遠隔期成績について検討した. 急性期死亡5例, 遠隔期死亡2例, 現在5例が健在である. 急性期死亡のうち3例が心合併症による術中死亡, 2例が残存解離の進展によるものであった. 遠隔期死亡の原因は2例とも残存解離によるものであった. 遠隔期に解離腔が完全に血栓化した症例はなく, 全例が double lumen で流れており, うち3例が拡大, 瘤化した. DeBakey I型解離に対しては上行大動脈のみの処置では十分でなく, 症例によっては弓部全置換といった拡大手術を考慮する必要があるように考えられた.
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