1994 年 23 巻 3 号 p. 172-178
心房細動を呈する僧帽弁膜症患者3名に対して弁置換術および弁形成術を行い, 同時に術中実施した心房 mapping の解析結果をもとに心房切開を置き, 心房細動の外科治療を同時に行った. 圧および容量負荷の加わった左心房で2名に興奮回旋による reentry 回路を認め, 1名に異所性自動能の亢進が証明された. なお, 右心房側の興奮伝播は混沌とした状態であった. Reentry の機序による心房細動患者1名に対しては両心房切開を他の1名に対しては左心房切開を置き, 異所性自動能の亢進による機序に対しては同定された部位に cryolesion を置きさらに術後の心房細動を防止する目的で左心房切開をこれに加えた. 術後一名で一過性の心房細動が認められたが, 心房切開により心房細動の持続が困難となり, 洞調律を長期間維持するのに有効であると考えられた.