日本心臓血管外科学会雑誌
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上行大動脈石灰化症例に対する冠動脈バイパス手術の対策
福田 幸人須磨 久善西見 優堀井 泰浩木川 幾太郎寺田 康鰐渕 康彦
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1994 年 23 巻 3 号 p. 200-204

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抄録

上行大動脈石灰化症例への冠動脈バイパスの中枢神経系合併症予防のため, われわれは(1)遠位上行および弓部大動脈または大腿動脈送血, (2)可能な限り in situ 動脈グラフト, (3)末梢吻合は大動脈非遮断で心室細動下に行う, (4)静脈グラフトの中枢吻合は動脈グラフトか循環遮断で大動脈に行っている. 348例中14例にこの手技を用いた. 使用グラフトは左内胸動脈12本, 右内胸動脈6本, 右胃大網動脈8本, 静脈グラフト4本で in situ 動脈グラフトのみを使用した症例が10例で4例は free の動脈グラフトと静脈グラフトを composite として用いた. 同時期に行った通常のCABGと比較し手術時間, 心筋保護等に差はなく, また中枢神経系合併症は1例もなく, 本手技は有効な方法であると考える.

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