1994 年 23 巻 3 号 p. 205-208
急性心筋梗塞後の乳頭筋断裂2例に対して, 僧帽弁閉鎖不全発生の早期に手術を行い救命できた. 症例1は75歳の女性で, 心筋梗塞発症後26日, 僧帽弁閉鎖不全発生2日目に手術を施行した. 後乳頭筋の部分断裂で後交連側前尖は高度に逸脱しており機械弁(SJM 25mm)で置換した. 症例2は76歳の女性で, 心筋梗塞発症後10日, 僧帽弁閉鎖不全発生4日目に手術を行った. 後乳頭筋の完全断裂で後交連側の前尖および後尖に高度逸脱があり, 後尖を一部温存し機械弁 (Omnicarbon 25mm) で置換した. 2例とも術前よりカテコラミンとIABP補助を必要とする心原性ショック状態であったが, ともに術後経過は順調であった. 本症の心原性ショック例では早期手術が有効であり, 診断つき次第手術を行うべきである.