1996 年 25 巻 1 号 p. 13-19
気道閉塞病変を伴った先天性心疾患21例に対して心臓根治術7例 (I群), 姑息術10例 (II群), 気道手術4例 (III群) を行った. 硬性気管支鏡検査により気道閉塞病変の診断と治療効果の判定をした. 呼吸管理離脱可能例はI群: 7例 (100%), II群: 7例 (70%), III群: 2例 (50%) であった. 術前から呼吸管理を必要とした16例 (76%) のうち6例 (I群, II群各3例) に肺動脈つり上げ術を併用した. 併用6例中5例が平均8.4日で呼吸管理から離脱可能であったが, III群を除く非併用例7例のうち呼吸器離脱可能例は5例で, 平均2か月を要した. 気道閉塞病変を伴った先天性心疾患の外科治療の選択においては, 心臓根治術を優先することが呼吸管理からの早期離脱に有利であり, 根治術あるいは姑息術いずれの場合も気道閉塞病変が強い場合は, 肺動脈つり上げ術を併用することにより早期離脱が可能になる. 気道病変の同時手術例の成績は不良であった.