日本心臓血管外科学会雑誌
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腋窩-大腿動脈バイパス術症例の検討
金岡 祐司種本 和雄杭ノ瀬 昌彦
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1996 年 25 巻 2 号 p. 120-125

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抄録
1982年3月より1993年1月の10年11か月の間に閉塞性動脈硬化症 (以下ASO) に対し当院で施行した腋窩-大腿動脈バイパス術は15例であった. 年齢は48歳から87歳, 平均71.2歳で全例男性であった. 術前, 全例が併存疾患を有していた. 3例が緊急手術であった. 待機手術12例のうち併存疾患のため2例の病院死がみられたが残る10例は軽快退院した. 退院例10例のうち併存疾患による遠隔期死亡4例, 不明の1例を除く生存例5例の観察期間は20~78か月, 平均47.6か月でグラフト開存率は100%であり, 全例日常生活を送っている. また, 稀な合併症としてグラフト周囲の seroma を経験した. 難治性の場合, グラフトの種類を換えることが有効であった. 腋窩-大腿動脈バイパス術は合併症を有する全身状態不良のASO患者に対し有用な術式である. 重症呼吸不全例などに対しては硬膜外麻酔と局所麻酔の併用で手術を行うことによりさらに侵襲を少なくすることが可能である.
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