抄録
左室瘤切除術前後に左室造影を施行しえた13例に対して, centerline 法を用いて左室瘤切除前における術後予測局所壁運動および実測術後局所壁運動を比較解析し, さらに有意狭窄を有する右冠動脈に対して同時に施行した血行再建が局所壁運動に与える効果を検討した. 左室全体の機能の指標である駆出率は, 術前における術後の予測と術後とで差がなかった. 全症例および右冠動脈に有意狭窄がなく血行再建を施行しなかった非血行再建群では, どの部位でも術前における術後の予測および術後の局所壁運動に差はなかった. 有意狭窄を有する右冠動脈に対して血行再建を同時に施行した血行再建群では, 右冠動脈支配領域である横隔膜部の局所壁運動は術前における術後の予測より術後のほうが良好であった. 左室瘤切除時の虚血右冠動脈領域に対する血行再建は, この領域の壁運動改善に寄与していると考えられた.