1998 年 27 巻 1 号 p. 41-43
腹腔動脈直上に entry を有する胸腹部限局型解離性大動脈瘤の症例に対し瘤切除, entry のパッチ閉鎖を施行した1例を報告した. 症例は55歳男性で, 主訴は, 腹痛および背部痛であった. CTおよび大動脈造影にて胸部下行大動脈から腹腔動脈直上に限局した解離性大動脈瘤を認めた. 手術は部分体外循環下に瘤切除, entry のパッチ閉鎖を行った. 術後対マヒの発生もなく良好に経過した. 本邦において文献上, 腹部大動脈に entry を有する腹部限局型解離性大動脈瘤は30例報告されているが, 腎動脈上に entry を有する症例は, 自験例を含め5例であり極めて稀であった.