日本心臓血管外科学会雑誌
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下肢虚血を合併した心疾患に対する体外循環
選択的下肢灌流を行った1例
小須賀 智一福永 周司有永 康一赤須 晃治飛永 覚林 伸介明石 英俊川良 武美青柳 成明
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1999 年 28 巻 4 号 p. 289-292

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抄録

症例は64歳の女性で胸痛を主訴として入院したが, 同時に右下肢の間歇性跛行の訴えも認められ, 精査の結果, 不安定狭心症, 両側外腸骨動脈閉塞性動脈硬化症と診断された. 下肢動脈造影では右外腸骨動脈の完全閉塞と左外腸骨動脈の狭窄を認め, ankle pressure index は右0.49, 左0.74であった. 緊急冠状動脈バイパス術を要する状態となったため下肢血行再建術は二期的に行うこととし, 体外循環による下肢虚血の増悪を防止するため右浅大腿動脈から14ゲージ針により選択的下肢灌流を行った. 術中術後には下肢虚血の増悪は認められず順調に経過した. 選択的下肢灌流は簡便に施行でき, 下肢閉塞性動脈硬化症を合併した体外循環症例において下肢虚血対策の一つとして有用であると考えられた.

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