日本心臓血管外科学会雑誌
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Salmonella 菌による感染性動脈瘤の外科治療
自験例を含めた本邦報告例についての検討
花房 雄治安藤 太三大北 裕師田 哲郎湊谷 謙司松川 律北村 惣一郎
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2000 年 29 巻 3 号 p. 161-167

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抄録

Salmonella 菌による感染性動脈瘤3例を経験し, 本邦報告例14例を含めた17例の検討を行った. 男女比は15:2と男性に多く, 平均年齢は66歳であった. 発熱はほぼ全例に, 疼痛は77%に認めた. 菌血症は12例中11例と, 他の感染性動脈瘤に比べ高頻度に認める傾向があった. 瘤の局在は17例中14例が腹部大動脈で, 瘤形態は仮性瘤, 嚢状瘤が15例で, 破裂は70%に認めた. 治療の原則は有効な抗生剤の投与と手術療法であり, 17例中15例に手術が施行された. in situ 瘤人工血管置換術を9例に, extra-anatomic bypass を6例に施行し, 14例が生存した. 自験例3例は全例男性で, 2例に術前菌血症を認めた. 3例中2例は, extra-anatomic bypass を施行し, うち1例を失った. Salmonella 菌による感染性動脈瘤は破裂の頻度が高く, 早期診断, 抗生剤投与, 手術療法が不可欠である.

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