日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
リウマチ性僧帽弁狭窄症に対する初回僧帽弁置換術の22年後に発症した三尖弁狭窄症の1例
加藤 泰之磯部 文隆野地 智佐々木 康之小寺 孝治郎石川 巧島村 吉衛熊野 浩長町 恵磨大門 雅弘
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 29 巻 6 号 p. 378-381

詳細
抄録

リウマチ性三尖弁狭窄症 (TS) は最近では比較的希である. 今回われわれは, 僧帽弁狭窄症 (MS) に対する初回僧帽弁置換術 (MVR) の22年後に発症した三尖弁狭窄兼閉鎖不全症 (TSR) に対して単独三尖弁置換術 (TVR) を施した1例を経験したので報告する. 症例は54歳, 女性. 32歳時MSに対しMVR (Carpentier-Edwards 29mm) を施行. 42歳時人工弁機能不全のため再MVR (Duromedics 27mm) を施行. 1998年5月著明な下半身浮腫が出現した. 心臓カテーテル検査上肺高血圧を認め, 右房右室拡張期最大圧較差は6mmHgであり, TVR (Hancock-II 29mm) を施し, 術後浮腫は著明に改善した. 三尖弁の器質的変化がみられ, かつ肺高血圧を合併している場合TSを発症する素因があると考えられ注意深い経過観察が必要であると思われた.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top