日本心臓血管外科学会雑誌
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リウマチ性間質性肺炎に対するステロイド投与中に発症した胸部大動脈瘤破裂
吉田 泰上村 和紀宇藤 純一北村 信夫
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2000 年 29 巻 6 号 p. 386-388

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抄録

症例は72歳, 男性. 慢性関節リウマチおよび間質性肺炎と診断されたさい, 胸部CT上弓部大動脈に径50mmの大動脈瘤を認めていた. ステロイド投与にて症状, 検査所見の改善を認めていたが, 治療経過中, 副作用と思われる糖尿病, 高血圧を発症したため対症的に治療しコントロールしていた. 治療開始から2カ月目, 意識消失発作にて胸部大動脈瘤破裂を発症した. CT上, 瘤径は60mmと拡大し周囲に血腫を認めた. 緊急で超低体温脳分離体外循環下に全弓部置換術を行い救命しえた. ステロイドが糖尿病, 高血圧などの副作用により, 動脈硬化性病変を増悪進展させ, 今回の急速な瘤径拡大, 破裂の一因となったと考えられた. 本例のように動脈硬化性病変を合併しかつステロイド投与を要する場合, 副作用のコントロールと同時に, 併存する動脈硬化性病変の慎重な経過観察が重要と考えられた.

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