2000 年 29 巻 6 号 p. 389-392
腹腔動脈瘤はきわめて希な疾患で, とくに腹腔内破裂救命例の報告はほとんど認められていない. 今回われわれは, 腹腔動脈瘤腹腔内破裂例に対して, 緊急で経カテーテル的動脈塞栓術を施行し良好な結果を得たので報告する. 症例は72歳男性で, 上腹部痛を主訴にショック状態で搬入された. 腹部CT検査, 血管造影検査にて腹腔動脈瘤破裂, 腹腔内出血と診断し, 経カテーテル的動脈塞栓術を施行した. 塞栓術により瘤内への血流遮断が得られたが, 瘤末梢の血流は上腸間膜動脈からの側副血行路経由で確保された. 塞栓術後約1年現在, 瘤の縮小化と瘤内の血栓化を認めている.