日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
弓部, 胸腹部重複大動脈瘤に対する二期的人工血管置換術
末永 悦郎須田 久雄片山 雄二里 学山田 典子伊藤 翼
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 29 巻 6 号 p. 396-399

詳細
抄録

症例は69歳男性, 遠位弓部, 胸腹部, 腎動脈下に真性動脈瘤を左腎動脈下と左総腸骨動脈に仮性動脈瘤を認め合計五つの重複動脈瘤を認めた. これに対し上行弓部全置換術と胸腹部全置換術の二期的手術を施行し良好な結果であった. 術前に自己血1,200mlを貯血し, 第一期手術を施行した. 胸骨正中切開後に上行大動脈送血, 右房脱血にて人工心肺を開始し直腸温18度にて循環停止とした. 順行性脳分離体外循環開始後, 4分枝付人工血管を用い上行弓部大動脈人工血管置換術を施行した. 第二期手術は第一期手術より約1カ月後に行った. この間自己血800mlを貯血した. spiral incision にて第6肋間開胸, 後腹膜アプローチにて行った. 主要分枝は, 腹腔動脈, 右腎動脈, 上腸間膜動脈, 左腎動脈の順に再建した. 肋間動脈はTh10, 11, L1の3対を再建した. 術後は対麻痺, 肝腎機能不全を認めなかった. 術式, 回路の工夫, 自己血貯血により無輸血手術が可能であった.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top