日本心臓血管外科学会雑誌
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冠静脈洞型心房中隔欠損症 (partially unroofed coronary sinus without PLSVC) の1手術治験例
水野 朝敏堀越 茂樹江本 秀斗宇野 吉雅鈴木 博之
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2001 年 30 巻 2 号 p. 80-82

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抄録

症例は21歳の男性, 心房中隔欠損症と診断され入院した. 心雑音, 心エコー所見, 心臓カテーテル検査所見より下縁欠損型心房中隔欠損症と診断し手術を施行したが, 手術中に coronary sinus ASDと確定診断した. 術前 coronary sinus ASDを確定診断することは難しいが, 本症例は1) 心エコー検査にて, subcostal view からの四腔断面像で欠損孔は認めず, hepatoclavicular position からの四腔断面像のみで短絡血流を確認でき, さらに coronary sinus の拡大も認めていたこと, 2) カテーテル検査にて心房中隔中央部に欠損孔を確認できず, それより尾側でカテーテルが左房へ通過したなど術前より coronary sinus ASDを示唆する所見が得られていた. 本症を疑い, より詳細な観察を行うことで術前診断は可能と考えられた. また欠損孔閉鎖には coronary vein からの血流を妨げないこと, 欠損孔の上前縁部で房室結節の損傷を避けることに注意が必要であった.

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