2001 年 30 巻 2 号 p. 95-98
症例は他施設で1979年に腹部大動脈瘤に対してY型 Cooley double velour knitted Dacron グラフトを用いて手術を受けた. 術後約18年後に腎動脈下の最大径約8cm大の人工血管瘤と左側は最大径約10cmを超える巨大な両側内腸骨動脈瘤が認められた. また, 心臓カテーテル検査の結果, 重症3枝冠動脈病変が認められたため同時手術を行った. 術中所見では中枢側吻合部から離れた部位の人工血管胴体部分の左側前方が縦方向に断裂し仮性動脈瘤を形成していた. 4枝冠動脈バイパス術と再Yグラフト人工血管置換術を施行した. グラフトの断裂の原因としては人工血管自体の繊維の材質劣化によるものが疑われた. 遠隔期の Dacron 人工血管非吻合部仮性動脈瘤の報告は少なく, 希なため報告する.