抄録
先天性大動脈二尖弁を伴ったバルサルバ洞動脈瘤破裂の1例に対し手術を行い,良好な結果を得たので文献的考察を加え自験例を報告する.症例は50歳の女性で,比較的急速に出現した心不全症状の精査目的に入院.動脈瘤は大動脈二尖弁の前バルサルバ洞より発生し右室流出路へ破裂していた.破裂部位は大動脈側から直接縫合閉鎖を行った.術前より合併していた心エコー上2度の大動脈弁閉鎖不全に対しては,大動脈弁の石灰化,弁尖自由縁の肥厚短縮が強く,弁置換術を行う必要があった.その治療にさいしては術後に大動脈弁閉鎖不全を残さない点が,遠隔期の良好な成績を得るために重要である.