日本心臓血管外科学会雑誌
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右冠,無冠洞に発生したValsalva洞動脈瘤に対してroot remodelingを応用した1例
山崎 武則櫻井 浩司萩原 啓明吉川 雅治伊藤 敏明秋田 利明矢野 洋阿部 稔雄
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キーワード: Valsalva洞動脈瘤
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2002 年 31 巻 6 号 p. 399-403

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抄録
症例は61歳,女性.健診で心電図異常を指摘された.精査の結果,大動脈弁閉鎖不全(AR)を伴う右冠,無冠洞のValsalva洞動脈瘤と診断された.瘤径は右冠洞41×40mm,無冠洞38×28mmで左冠洞は正常形態であった.大動脈弁尖に異常所見を認めず弁輪径23mm,ST junction(STj)径27mmであった.右冠洞の拡大により弁輪が変形し右冠尖が逸脱することによりARが発生していた.Root remodelingを応用した自己弁温存術式を選択した.右冠,無冠Valsalva洞動脈瘤を完全に切除し.左冠洞は温存した.三つの交連下に弁輪縫縮術を行い,26mm Hemashield®人工血管の2/3周をトリミングしてYacoubのremodeling法に準じてValsalva洞欠損部を補填した.右冠動脈をボタン状に切り抜きCarrel patchを人工血管に縫着した.右冠動脈のspasmから同部へのCABGの追加とIABPを要したが,術後経過は良好でARは消失した.
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