日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
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31 巻 , 6 号
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  • 前場 覚, 川上 恭司, 中尾 達也
    2002 年 31 巻 6 号 p. 377-381
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    冠動脈バイパス手術(CABG)における動脈グラフトとしての右胃大網動脈(RGEA)は,構造上血管平滑筋が多い筋性血管であり,内胸動脈と比較し動脈硬化が起こりやすく,また発達の個人差が大きいとされている.したがって術前にグラフト材料としての適否を検討することが望ましく,その検査法としてはカテーテル血管造影検査が一般的である.最近われわれは,カテーテル血管造影検査の代わりに,CT-angiographyによりRGEAを評価している.同検査法は,より低侵襲かつ簡潔に行えるだけでなく,詳細で鮮明なangio画像が得られ,グラフトの適否を決定するうえできわめて有効な検査法であると考えられた.
  • 黄 義浩, 堀越 茂樹, 水野 朝敏, 青木 功雄, 田口 真吾
    2002 年 31 巻 6 号 p. 382-384
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    僧帽弁膜症を伴う徐脈性心房細動症例のなかには僧帽弁手術により徐脈の改善を認める症例もあり,今のところこのような症例でのペースメーカー植え込み手術(PMI)の適応に一致した見解はない.今回,術前から徐脈性心房細動を認め,開心術中に永久心筋電極を装着した24例を術後PMIなし(N群)と術後PMIあり(P群)に分け,さらにP群をP1群(開心術中),P2群(経過観察中)として,術後PMIの指標および徐脈性心房細動に対する僧帽弁手術の意義を検討した.P群では術前のNYHA,両心房圧,心房細動歴がN群に比べ有意に大きく,また,開心術後の著明な左房負荷軽減は徐脈改善に寄与するケースが多かった.以上より,心房細動の徐脈化には慢性的な心房負荷の影響が強く,徐脈化を防止するには弁手術による速やかな心機能回復に努めることが重要と思われた.また,術後PMIの適応を判断するさいには術前の循環動態のほか,僧帽弁術後早期における心機能改善度の評価が必要と思われた.
  • 野村 耕司, 黒澤 博身, 森田 紀代造, 長沼 宏邦, 木ノ内 勝士
    2002 年 31 巻 6 号 p. 385-387
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    海外では1980年代からhomograftが臨床応用されているが本邦での使用経験は希少である.今回Ross手術右室流出路再建にpulmonary homograftを用いた14例について検討した.Graft機能を心エコーによるpeak flow(PK),圧較差(PG),弁逆流について調べ,PGと患者の年齢,donor年齢,graft保存期間との相関関係も検討した.年齢は平均17.2歳,手術内訳はRoss手術10例,Ross-Konno手術4例,観察期間は23.1ヵ月であった.PK,PGはそれぞれ1.6±0.4m/s,11.9±5.2mmHgであった.弁逆流は1例にごくわずかに認めるのみであった.またPG-年齢,PG-donor年齢,PG-graft保存期間との間にはいずれも相関関係を認めなかった.23ヵ月の期間では,QOLに影響するような狭窄や弁逆流を認めず,右室流出路再建に用いる材質として優れていると考えられた.
  • 大徳 和之, 竹内 功, 板谷 博幸, 伊東 和雄, 一関 一行, 小山 正幸, 福井 康三, 高谷 俊一
    2002 年 31 巻 6 号 p. 388-391
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    重複大動脈弓,血管輪は先天性動脈奇形では比較的希な疾患であるが心内奇形を合併しない限り,循環動態に影響を及ぼすことはなくその予後は良好である.しかしながら初発症状が喘鳴,嚥下困難といった呼吸器や消化器症状であるため確定診断にいたるまで時間を要し予期せぬ合併症に見舞われることがある.われわれは喘鳴を初発症状としたEdwards IA型の血管輪を経験した.血管輪離断術を行ったが呼吸状態の改善を認めず,2回目の手術にて動脈管索離断術およびaortopexyを施行し,人工呼吸器より離脱できた.大動脈弓離断により,気管外からの圧迫は解除されたが気管チューブの刺激による気管内壁の肥厚が原因となって,気管内腔の狭小化をきたしたものと思われた.血管輪には気管軟化症に伴う気管狭窄が知られているが,その他の機序による気管狭窄も念頭に入れ早期診断と適切な治療法の選択が望まれる.
  • 渡邉 寛, 松下 昌之助, 大川 修一, 山吹 啓介, 五味 聖吾, 檜山 輝男, 金子 秀実
    2002 年 31 巻 6 号 p. 392-394
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    症例は78歳女性.6年前に僧帽弁閉鎖不全症に対し,他院にてDuranリング使用で弁形成術を受けた.2年前から労作時息切れが生じしだいに増悪した.僧帽弁閉鎖不全は中等度であったが,著明な貧血が進行し,血清ハプトグロビンの著明な減少とLDH上昇により,溶血性貧血と診断した.溶血は進行性でLDH2,000以上となり貧血と相まって臨床症状も悪化した.逆流する血流がリングやプレジェットなどの人工物に当たり溶血していると判断し,保存的に改善は不可能と考え再手術を行った.術中所見では,術前診断のとおりでリングの一部は組織から遊離し,内皮で覆われていなかった.25mmのCarpentier Edwards牛心嚢膜生体弁による弁置換術を行い,経過良好で退院し,溶血は消失した.僧帽弁閉鎖不全症に対する弁形成術後の再手術には,原疾患進行による閉鎖不全再発,高度溶血などの理由が報告されている.若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 斎藤 武志, 内田 直樹, 赤坂 純逸, 高橋 悟朗
    2002 年 31 巻 6 号 p. 395-398
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    1次口欠損は2次口欠損より幼少時より重篤な心不全に陥ることが多いため,早期の手術治療なしでの長期生存例は少ない.われわれは今回,63歳,男性の1次口欠損型不完全型心内膜床欠損症(ECD)に根治術を施行し,良好な結果を得たので報告する.左室造影像で心室レベルでの左右短絡が認められたため,完全型心内膜床欠損症(Rastelli type A)の診断で手術となった.術中所見では心室間の交通はみつからず,不完全型ECDであった.ECDにおいては,左室造影像における心室レベルでの短絡を過大評価してしまう危険性があり,術前診断における心エコー検査の有用性が再認識された.手術は1次口のパッチ閉鎖とKay法による僧帽弁輪縫縮術を施行した.術後経過は良好で,心胸郭比の正常化,臨床症状の改善が認められた.
  • 山崎 武則, 櫻井 浩司, 萩原 啓明, 吉川 雅治, 伊藤 敏明, 秋田 利明, 矢野 洋, 阿部 稔雄
    2002 年 31 巻 6 号 p. 399-403
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,女性.健診で心電図異常を指摘された.精査の結果,大動脈弁閉鎖不全(AR)を伴う右冠,無冠洞のValsalva洞動脈瘤と診断された.瘤径は右冠洞41×40mm,無冠洞38×28mmで左冠洞は正常形態であった.大動脈弁尖に異常所見を認めず弁輪径23mm,ST junction(STj)径27mmであった.右冠洞の拡大により弁輪が変形し右冠尖が逸脱することによりARが発生していた.Root remodelingを応用した自己弁温存術式を選択した.右冠,無冠Valsalva洞動脈瘤を完全に切除し.左冠洞は温存した.三つの交連下に弁輪縫縮術を行い,26mm Hemashield®人工血管の2/3周をトリミングしてYacoubのremodeling法に準じてValsalva洞欠損部を補填した.右冠動脈をボタン状に切り抜きCarrel patchを人工血管に縫着した.右冠動脈のspasmから同部へのCABGの追加とIABPを要したが,術後経過は良好でARは消失した.
  • 饗場 正宏, 川田 忠典, 沖 淳義, 伊谷野 克佳, 丸田 一人, 竹内 晋, 塩尻 泰宏, 柴田 雅彦, 高場 利博
    2002 年 31 巻 6 号 p. 404-407
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    大動脈炎症候群が疑われた腹部大動脈縮窄症に胸部下行大動脈瘤を合併した症例に対し下行大動脈置換と下行-腹部大動脈バイパス術を行い良好な結果を得たので報告する.症例は67歳,女性.左側胸部痛精査のCT,DSAで最大径60mmの下行大動脈瘤と腎動脈分岐後の腹部大動脈縮窄を認めた.さらに上腸間膜動脈から下腸間膜動脈に著しく拡張したmeandering mesenteric arteryを介した側副血行路がみられた.血液検査上炎症所見はなかったが形態学的に大動脈炎症候群が疑われた.手術は左第4肋間開胸と左腹部斜切開でF-Fバイパス下に下行大動脈瘤切除,人工血管置換を行い,下行置換のグラフトに作製した分枝と大動脈分岐上の腹部大動脈との間に後腹膜経路でバイパス術を行った.術後経過は良好で術後42日で軽快退院した.大動脈炎症候群では術後の炎症再燃,吻合部動脈瘤の発生が危惧されるが,術後約1年の経過観察中合併症なく社会復帰している.
  • 毛利 亮, 手取屋 岳夫, 中井 幹三, 石野 幸三, 佐野 俊二
    2002 年 31 巻 6 号 p. 408-410
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,男性.胃癌にて幽門側胃部分切除術の既往あり.早期食道癌と診断され放射線治療を行ったが,再発を認め,食道抜去術,胸骨前経路による食道再建術が予定された.術前評価で左前下行枝,右冠状動脈の高度狭窄を認め,冠状動脈バイパス術(CABG)の適応となった.左第5,7肋間開胸により大伏在静脈のYグラフトを用い,下行大動脈をinflowとする2枝off-pump CABGを施行した.吻合にはCTSスタビライザー,心尖部吸引リトラクターを用いて術野を展開した.手術時間は220分で,手術室気管内チューブ抜管し,同種血輸血は行わなかった.術後7日で経過良好にて退院した.左開胸off-pump CABGは,本例のような食道癌患者に対して,食道再建予定経路を回避することで,癌に対する治療にも支障をきたすことなく,安全に行うことが可能であった.
  • 四方 裕夫, 坂本 滋, 永吉 靖弘, 西澤 永晃, 河野 通孝, 武内 克憲, 松原 純一
    2002 年 31 巻 6 号 p. 411-413
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,女性.22年前の31歳時に大動脈閉鎖不全のためBjörk-Shiley convexo-concave(B-SCC(21mm))弁による大動脈弁置換術を当科で施行した.そのさい,臨床症状ならびに肺の組織診断を行い,Swyer-James症候群と診断した.以後他院での通院加療となっていたが,僧帽弁閉鎖不全兼狭窄症が発症し,心不全症状を呈して入院した.手術適応と判断し,低肺機能のSwyer-James症候群患者に,2度目となる開心術で,僧帽弁置換術を行った.同時にB-SCC弁は構造上問題があるとされ患者の了承を得て大動脈弁に予防的再弁置換を行った.
  • 山川 智士, 村下 十志文, 岡 潤一, 窪田 武浩, 今村 道明, 椎谷 紀彦, 安田 慶秀
    2002 年 31 巻 6 号 p. 414-417
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    Ebstein奇形に合併する三尖弁逆流に対する弁形成術として,Carpentier法による修復法は広く受け入れられている術式である.今回われわれはCarpentier法による修復が困難であった成人Ebstein奇形の2手術例を経験したので,その修復法について文献的考察を加えて報告する.症例1は63歳女性,TR IV度でASDを合併していた.形態的にはCarpentier分類Type Dで前尖の約40%がplasteringしていた.Carpentier法による修復を試みたが逆流が残存し弁置換術を行った.症例2は53歳女性.Type Bであったが,前尖にcleftがあり分葉しており前尖を弁輪より切離し再縫合するCarpentier法は不適切と判断した.中隔尖先端は機能しうる組織が残存しており,これに前尖を接合させるように弁輪形成を行った(Hetzer変法).両症例とも前尖の高度の奇形を伴っており,Carpentier法が困難な症例と考えられた.このような症例には後尖も含めて機能しうる弁尖部分を最大限に利用して,中隔尖,後尖側の弁輪の高さをその付着部に移動させて再構築を行うHetzerらの方法が有効な選択肢となりうると思われた.
  • 山城 聡, 國吉 幸男, 宮城 和史, 下地 光好, 上江洲 徹, 新垣 勝也, 摩文仁 克人, 瀬名波 栄信, 古謝 景春
    2002 年 31 巻 6 号 p. 418-421
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    骨髄異形成症候群は難治性進行性の確定的な治療法がない予後不良の疾患であり,本疾患を合併した開心術の報告は少ない.症例は68歳,男性.平成13年6月,僧帽弁狭窄症,心房細動,左房内血栓と診断され僧帽弁置換術を予定した.入院時血小板数1.9×104/mm3と減少しており,骨髄検査より血小板減少が主体の骨髄異形成症候群と診断された.血液凝固・血小板機能分析装置を用いて血小板機能を解析しつつ血小板輸血を行い,僧帽弁置換術および左房内血栓摘出術を施行し,術後良好な止血効果が得られた.出血性素因を合併する開心術では血小板機能を解析しつつ血小板輸血を行うことは術中・術後管理にさいし出血コントロール上有効であると思われた.
  • 毛利 亮, 畑 隆登, 津島 義正, 松本 三明, 吉鷹 秀範, 濱中 荘平
    2002 年 31 巻 6 号 p. 422-424
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    腎移植後の連合弁膜症患者に対し大動脈弁僧帽弁置換術を行い良好な結果を得た.患者は50歳男性.慢性腎不全にて17年間の透析治療後に生体腎移植を受けている.大動脈弁閉鎖不全兼狭窄症,僧帽弁閉鎖不全症にて大動脈弁僧帽弁置換術を行った.周術期のタクロリムスは経口投与にてコントロールを行った.術翌日に尿量低下を認めたがヒト心房性利尿ペプチド(hANP)投与が有効であった.感染徴候,拒絶反応,腎不全を合併することなく軽快退院した.われわれが検索した限り腎移植後患者に対する両弁置換術は本邦1例目である.
  • 鴛海 元博, 森田 紀代造, 橋本 和弘, 水野 朝敏, 高倉 宏充, 長沼 宏邦
    2002 年 31 巻 6 号 p. 425-427
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    僧帽弁逸脱症は腱索断裂を比較的高頻度に合併するが,感染性心内膜炎やMarfan症候群の合併なく急激に僧帽弁閉鎖不全を発症し,急性左心不全さらに,心停止にいたることは希である.今回,突然の急性左心不全にて発症し,救急外来受診直後心停止をきたした僧帽弁腱索断裂を伴う急性僧帽弁閉鎖不全症の43歳男性に対し,緊急手術を施行し良好な結果を得た.本症例では術中に先天性大動脈二尖弁による高度の閉鎖不全症の合併が判明し,これによる慢性左室容量負荷増大に加え,急性の腱索断裂が心停止をきたすほどの急性左心不全を招来した一因と考えられた.
  • 花田 智樹, 山内 正信, 樋上 哲哉
    2002 年 31 巻 6 号 p. 428-430
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    症例は42歳,男性.左手掌を打撲し,その約1週間後に左小指球部に拍動性腫瘤が出現した.その後放置していたが約1年後突然左第2,3,4,5指の痺れ,チアノーゼが出現した.CTにて尺骨動脈が有鈎骨に接する部位に壁在血栓を伴う最大径20mmの動脈瘤を認めた.手術は動脈瘤切除,尺骨動脈再建を行った.外傷性尺骨動脈瘤は手掌をハンマーとして使用する職業の人において好発し,手指の虚血症状を伴うことが多い.
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