2002 年 31 巻 6 号 p. 418-421
骨髄異形成症候群は難治性進行性の確定的な治療法がない予後不良の疾患であり,本疾患を合併した開心術の報告は少ない.症例は68歳,男性.平成13年6月,僧帽弁狭窄症,心房細動,左房内血栓と診断され僧帽弁置換術を予定した.入院時血小板数1.9×104/mm3と減少しており,骨髄検査より血小板減少が主体の骨髄異形成症候群と診断された.血液凝固・血小板機能分析装置を用いて血小板機能を解析しつつ血小板輸血を行い,僧帽弁置換術および左房内血栓摘出術を施行し,術後良好な止血効果が得られた.出血性素因を合併する開心術では血小板機能を解析しつつ血小板輸血を行うことは術中・術後管理にさいし出血コントロール上有効であると思われた.