日本心臓血管外科学会雑誌
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Carpentier法が困難であった成人Ebstein奇形の2手術例
山川 智士村下 十志文岡 潤一窪田 武浩今村 道明椎谷 紀彦安田 慶秀
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2002 年 31 巻 6 号 p. 414-417

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抄録
Ebstein奇形に合併する三尖弁逆流に対する弁形成術として,Carpentier法による修復法は広く受け入れられている術式である.今回われわれはCarpentier法による修復が困難であった成人Ebstein奇形の2手術例を経験したので,その修復法について文献的考察を加えて報告する.症例1は63歳女性,TR IV度でASDを合併していた.形態的にはCarpentier分類Type Dで前尖の約40%がplasteringしていた.Carpentier法による修復を試みたが逆流が残存し弁置換術を行った.症例2は53歳女性.Type Bであったが,前尖にcleftがあり分葉しており前尖を弁輪より切離し再縫合するCarpentier法は不適切と判断した.中隔尖先端は機能しうる組織が残存しており,これに前尖を接合させるように弁輪形成を行った(Hetzer変法).両症例とも前尖の高度の奇形を伴っており,Carpentier法が困難な症例と考えられた.このような症例には後尖も含めて機能しうる弁尖部分を最大限に利用して,中隔尖,後尖側の弁輪の高さをその付着部に移動させて再構築を行うHetzerらの方法が有効な選択肢となりうると思われた.
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