日本心臓血管外科学会雑誌
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弓部大動脈瘤に対する経大動脈stent graft挿入術の工夫
合併症予防対策を中心に
吉鷹 秀範畑 隆登津島 義正松本 三明濱中 荘平末廣 晃太郎大谷 悟
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2003 年 32 巻 1 号 p. 9-12

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抄録
弓部あるいは遠位弓部大動脈瘤の18例に胸骨正中切開下,経大動脈的にステント付き人工血管(SG)内挿術(OSG)を行った.脳保護は逆行性脳灌流法あるいは脳分離体外循環(弓部3分枝送血)を用いた.SG内挿中は瘤内あるいは下行大動脈内は血液あるいは二酸化炭素を満たしながら挿入した.また,SG挿入後にバルーンでSGを閉塞させた状態での大腿動脈送血は行わなかった.結果は周術期心筋梗塞と肺炎でそれぞれ1例を失った.また,2例において中枢側エンドリークを認め再手術を要した.エンドリークはいずれもSG中枢側吻合を粥状変化の強い弓部において後壁inclusion法で行ったために発生.弓部全置換を追加し,エンドリークは消失した.脳脊髄神経系合併症はまったく認めなかった.OSGではエンドリークあるいは脊髄神経障害といった合併症に対する対策を講じる必要がある.しかし注意深く手術を行えば十分に有用な術式の一つとなりうる.
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