抄録
大動脈弁置換術後のためワルファリンによる抗凝固療法を受けinternational normalized ratio (INR)=2.90と安定していた患者が,扁平苔癬のためミコナゾール200mgを9日間点滴静注を受け,プロトロンビン時間がINR=31.39と著明に延長した.このためワルファリンを中止したが,INRが回復しワルファリン再開まで14日を要し,約50日後に安定が得られた.ミコナゾール投与はワルファリンの抗凝固作用を著明に延長させ,また回復に長期間を要するため,ワルファリンを内服中の患者ではどうしても必要な場合のみとし,必ず凝固時間の測定下に慎重に使用すべきと考える.