日本心臓血管外科学会雑誌
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90歳以上の高齢者に対する腹部大動脈瘤手術の手術成績ならびに遠隔成績についての検討
向井 資正八百 英樹宮本 魏山村 光弘田中 宏衞中川 隆司良本 政章稲井 理仁
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2003 年 32 巻 4 号 p. 206-208

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抄録

1995年4月から2002年6月に施行した90歳以上の高齢者に対する腹部大動脈瘤(AAA)手術8例を対象とした.男性7例,女性1例.平均年齢90.8±1.4歳(90~94歳).緊急手術は4例でこのうち術前ショックを1例に認めた.術前の併存疾患は高血圧症4例,虚血性心疾患,播種性血管内凝固,胸膜炎をそれぞれ1例に認めた.AAAの最大径は69.5±16.6mm(48~10mm)であり,全例全腹部正中切開を行った.手術成績は全例軽快退院した.術後合併症は,術後譫妄2例,無気肺,イレウスを1例ずつ認めた.遠隔成績は,遠隔死亡5例で,死亡原因は肺炎2例,老衰,心不全,吻合部仮性瘤破裂がそれぞれ1例であった.遠隔生存率は1年,2年,3年がそれぞれ88±12%,63±17%,20±18%と不良であったが,期待生存率との差は少なかった.手術成績ならびに遠隔成績はほぼ良好であり90歳以上の高齢者であっても,積極的に手術を勧めるべきであると思われる

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